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姫路

急に仕事で姫路まで行く事になった。それを彼女に話すと、
「ついて行っちゃおうかな」と言う。
「仕事で行くんだよ・・・・時間だって限られちゃうし・・・・」
「いいの」

結局、ついてきた。駅で別れて取引先に向かった。幸いに余り時間をかけずに済みそうだった。
商談。中休みにメールを送る。
「順調、あと一時間くらいかな?」
仕事の話よりも、時間が気になる。今日は彼女が中心の一日になってしまった。僕だけなら、用事を済ませて帰ればいいだけだ。彼女を遠くまで連れてきて一人ぼっちにしている。商談が進む。時間が長く感じられる。あと10分が特に長い。
早く、彼女の所へ・・・・

メールが入ってきた。「ここにいるよ」と写真付きだ。城の中にいるらしい。
用が済んで、僕は駆け出していた。そんなに遠くはないようだ。休みながら姫路城まで走ってしまった。
着いたら電話しようと思っていたら、入り口に彼女がいた。
「待ってたの?」
僕は息がきれていた。
「ううん、今出てきたところ・・・・」
「そう」
ネクタイを緩めながら、「一回休み」と言った。こんなに遠くまで来て、あと何時間もいられない。少し休んでから歩き出した。

誰も僕らのことを知らない。
自然に手をつないで歩いていた。他人の目を気にしなくてもよかった。
見た目は普通の恋人同士にしか映らないはずだった。
でも、それ以上?
彼女は自分の指輪を左の薬指につけかえていた。
by ryu2005 | 2005-04-03 00:03


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